夢を見た。

 

友人たち数人 (KとT) と恋人 (H) とで出掛けていた。


おそらく海外だろう。ラスベガスのような街並みだったように思う。 


夜中になりホテルで休息を取るのだが、何故か恋人と私は部屋 (バンガローの棟) が違う。


すると友人の一人が急に「こんなところまで来たんだから思いっきり楽しもう」と提案する。


(友人はこの夜の悪事のために私と恋人の部屋を分けてとったのかもしれない)


彼らは車を出し私を無理やりに連れ出し (たまには悪いことしなくちゃと言ったようなニュアンスの言葉) 車に乗せた。 


恋人は自分の部屋にいるのだが 部屋に一人の寂しさからか寝付けないらしく 私と携帯電話のテキストで連絡を取りたがっている。


夜の街へ繰り出す友人の運転する車内で 私はこの悪友との一夜を隠そうと嘘をつかなければいけない状況になってしまう。


(嘘をつくことは本当に慣れていない) 


海外だからかLINEやアプリケーションではなくSMSメッセージを利用した会話だったのだが、携帯電話の調子が悪く こちらからは飛び飛びでしか連絡を送れない。


悪いことに車内の揺れからか私の指も動きが疎かになってきた。


(ものすごい速度で窓を横切っていく街灯や標識の灯り)


こちらからほとんど送れないにも関わらず 恋人の優しい言葉が積み重なっていく罪悪感を胸に感じ焦燥感に駆られる。


さらに悪いことに車が動くか不安になるほどの恐ろしい豪雨に見舞われ、視界がほとんどない。


オープンカーを無理やり塞いだ車なのか上からも濁流が流れ込んでくる。


友人のKはそれでも車を全速力で走らせ 地下道に入ろうとする。 


フロントガラスが滝のような雨で気がつかなかったようだが そこは既に冠水しており 我々は車のままそこに突っ込む。 


全速力のまま車内に溢れ込んでくる濁流と 割れたフロントガラスたち。


暗転する意識の中にこだまする 疎かな私のメッセージすら包み込み 積み重なっていく優しい言葉たち。

 


 

次の夢



 

私は東南アジア圏の国にいた。一人だった。


現地の人々と拙い英語で会話しながら交流をするうちに この地域の裏の生活が薄く見えてきた。


この地域を裏で操る男がいて、彼らがどうもひどいことを村民に対して行なっている風だった。


私はそこで仲良くなった男 (現地人と外国人を含む数人) とその男を懲らしめる策を練る一人に選ばれてしまった。


(嫌々だが外国人なら知恵を持って手を貸せとの村の期待を断れなかったというのがある)


ちょうどその頃、村に大発生している昆虫がいた。それは少々の知性を持てるように改変されたスズメバチの一種だった。


おそらく蚊や蠅やゴキブリを駆逐するよう改良されたものだと思うのだが  ひとつの個体が敵とイメージした対称を群を使って殺すという特徴を持った昆虫だった。


私はその昆虫を使い その男を群れの仮想敵に仕立て上げることに成功した。


結果的にその男は死ぬこととなるのだが、同時に村中にその蜂の恐ろしさが伝わってしまう。


村の人々はその蜂を排除しようと皆で退治していくのだが、村民は次々に蜂の仮想敵となり襲われていってしまう。


蜂の中では "人間は敵 → 戦おう → 排除しよう" という方程式が出来上がってしまっており、村民は次々に命を落とす。


村の一人があることに気がついてしまう。「この蜂を利用しようと画策した最初の人間は誰だ?」


私は村中の人々からことの発端の犯人として晒し上げられ 極悪非道の諸悪の根源の様に罵倒と排斥の意思を浴びせられる。


(逃げ込んだひとつの集落では先日死んだその男を神と崇めるような人々との交流もありなにが正しかったのかわからなくなる一幕もあった。取材にと持ち込んだカメラやレンズが湿気で目に見えてミシミシとカビていく恐怖を感じていく)


そんな人々たちから逃げる私に、例の蜂たちが迫ってくる。


脳内にこだまする蜂たちの声「お前が私たちを使ったのだ お前がすべて悪いのだから 仕方のないことだろう?」


必要以上に恐ろしく大きな羽音に 私は死を覚悟する。


 


2022.09.10.05.00.  -


Yamato Ogawa.